ナミブレース Stage1:Across The Salt Pans(39.6km)

Namib Race 250km

2024年4月に開催されたナミブレース(ナミブ砂漠マラソン)1日目の記録。

レースの始まり

朝、テントから出て最初に感じたことは「暖かい」。
砂漠というと日中は死ぬほど暑く、夜は氷点下近くまで下がる、というイメージだったが、この日は非常に快適な朝だった。

朝日を浴びながら朝食、身支度を済ませる。
私は質素にアルファ米を食べましたが、ピザを持ち込んだ選手は朝から美味しそうに食べている。
羨ましい…。
(キャンプにはゴミ箱があり、レース前にピザの箱は全て処分できる。カップ麺等の持ち込みも良いだろう。)

スタート直前のゲート。
これまでのトレーニング、コロナによるレース延期、資金や休暇の確保、長時間の移動が思い起されて、ここに立てたという事実だけで感無量だ。

「3、2、1、Start!」の掛け声と同時に選手たちが一斉に走り出す。
私は完走が最優先目標で余裕があれば走るくらいの気持ちだったため、周りに流されずにゆっくりスタート。
というか、荷物が12㎏もあって走れない…。

朝日に照らされて美しい砂丘を進む。
ハイペースで走る上位陣、そこそこに走るボリュームゾーン、歩き倒す覚悟の下位陣。
あっという間に列が縦に伸びていく。上位陣以外はマイペースに楽しむ雰囲気が非常に良い。

まさに旅という感じだ。

塩田地帯を歩く

突然、砂丘地帯から抜けて地面が真っ白になる。カチカチに固まった塩だ。
ステージ名にもある通りSalt Pans、つまり塩田地帯を横断するコースとなっている。
このエリアは足が沈む砂丘より歩きやすく快適に進むことができた。

これより小さいが、お守り代わりに塩の欠片をザックに入れた。
塩タブレットだけでは塩分補給が間に合わなくなった時、舐めれば塩分を補給できるだろう。
表面の土を水で流せば衛生面も問題ないだろう。もともと海水だし…。

出典:Racing The Planet

赤く染まった田園地帯をひたすら行く。

出典:Racing The Planet

野生のフラミンゴも大量に見ることができる。
近づくと想像以上にデカい。目の前を飛行するフラミンゴが横切ったときはビビった。

快適な海風が吹く海岸線へ

塩田を抜けると今度は海岸線に出た。
冷たい海風が吹き付けるため、日差しはあるものの快適に歩くことができる。

出典:Racing The Planet

ボトルの水もほとんど減らないくらいには涼しい。

近づいでも逃げない謎の海鳥。
結構デカくてビビる。

ここまで19㎞歩いてきたが景色は最高、大きな消耗もなし。
これは思っていたより楽勝なレースなのでは?と甘い考えを持ち始めるが、そんな甘いレースのはずもなく後にボコボコにされることになる。

砂漠地帯への第一歩

海沿いから内陸に入るとようやく砂漠らしい景色になった。
海風もなくなり、ジリジリと暑さを感じるようになる。
ただ、湿度は低くカラッとしているため、日本の夏と比較したら大したことない、というのがここまでの印象。

その後も淡々と歩を進めステージ1を無事にフィニッシュ。

1つ惑わされたのは砂漠の音の通しやすさだ。
ゴールではスタッフが太鼓を叩いて盛り上げてくれているが、この太鼓の音がゴールのかなり手前から聞こえてくる。
そろそろゴールかと思い水を飲み切る勢いで補給したのだが、ここから更に4㎞近く歩くことに。
いつまで経ってもゴールに辿り着かないため少し焦ってしまった。

周囲の音や景色に惑わされず、淡々とやるべき事をこなしていくことが今後大切になりそう。
未知の環境下でミスると一瞬で地獄行きの可能性がある。

最高のキャンプ

キャンプでは先にゴールした選手たちが既に食事、談笑を楽しんでいる。
私も先にゴールしていたテントメイトに改めてご挨拶。

ロシア人は3位でフィニッシュ、カザフスタンン人もかなり上位でフィニッシュしていて驚いた。
歩き通しで来た私など比にならない強者だが、あたたかく迎えてくれ、労いの言葉をかけてくれるナイスガイたちだ。

昨晩は見た目に気圧されてあまり会話もなく寝てしまったが、レース初日のうちに仲良くなれて本当に良かった。

日没を迎え、空が美しく染まる。
これまで見た中で最も赤い、怖いくらいに赤く染まった夕焼け空だった。
写真で表現できていないのが惜しい。

歩き通しとはいえ40㎞はそれなりに疲労するのか、この日は夕食を食べた後20時頃には就寝。
非常によく眠れた。

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