2024年4月に開催されたナミブレース(ナミブ砂漠マラソン)3日目の記録。
砂丘群からの脱出
昨日までは余裕を持って8時スタートを迎えていたが、この日はバタバタと準備。
起床時間がどんどん遅くなっている。
2日間、時間的には余裕を持ってフィニッシュしているが疲労は隠せないか…。
ステージ2では猛暑にやられリタイアする選手も出始め、サバイバル感が増してきた。
昨日の暑さを考えると全く楽観視できない。
写真を撮って3日目スタート。
ステージ3は砂丘群を抜けだし、だだっ広い平野を行く、とブリーフィングで配られた紙切れに書いてあったが果たして。
スタート直後、砂丘の間を縫うように進むため大きな消耗がなく助かった。
砂丘群を抜けだし、まっ平らなロードに出る。
朝日を浴びて輝く砂丘が美しい。
昨日とは打って変わって固めの路面。
まだ気温が低いのもあって非常にスムーズに進むことができた。
1つのミスで足を負傷
CP1通過後は砂丘からも離れてだだっ広い平野、というより荒野と言った方がしっくりくるロードを進む。
さっきまでは快適だった気温も徐々に上昇。
まだ、許容範囲の暑さだが、見ての通り逃げ場が一切ないのは精神的にキツイ。
それでもCP2までは順調にクリア。
しかし、ここで痛恨のミス。
水分補給にばかり気を取られてしまい、シューズ、靴下内の砂の除去を忘れてしまう。
昨日の砂丘より砂の入りはマシという思い、序盤の快適な気温に油断が生まれたのかもしれない。
出典:Racing The Planet
たった1回、足の手入れを怠ったばかりにCP2の後すぐ、左足母指球付近に大きい水ぶくれができてしまった。
これは中間ポイントの給水車の日陰を利用して足の様子を確認しているところ。
よっぽど悲壮感が出ていたのか、モノクロ処理されていた。
歩き方を変えるほど痛くはないため無視して進むが、水ぶくれ内で水が移動して歩きにくい…。
灼熱の荒野
CP3までは車道の隣を延々を進む。
一見まっ平に見えるが、路面には轍やデコボコがあって非常に歩きづらい。
無視すると消耗が激しいため、常に路面を観察しながら歩く必要がある。
出典:Racing The Planet
この日の気温は47℃。
逃げ場がない、地平線まで続くロードを延々と行く。
正直、ここで死ぬんじゃないかと何度も思った。
経験したことのない暑さ、強烈な日差し、先が見えすぎて逆に絶望する荒野。
大量に持ち込んだ塩タブレットを頻繁に投入し、なんとか持ちこたえる。
ゴールまで6kmとなり、ようやく荒野パートが終了。
渓谷にはいると少し風が出て、何より日陰がある。
身体は既にオバーヒート気味のため、頻繁に休憩しながら進むことに。
一度熱中症になったら立て直すことは難しく、即終了のレース。
ゴール直前でも慎重さは大切だ。
最後の数キロを耐えて何とか今日も生き残った。
ゴール後、シューズを脱ぐと左足裏の水ぶくれは潰れ、右親指の爪が死んでいる。
今日だけでかなりダメージを受けてしまった。
幸い、救護エリアで水ぶくれの消毒、テーピングの処置をしてもらえたため、明日も問題なく歩くことができそう。
出典:Racing The Planet
ゴール直後はフラフラだったが、少し経つと歩き回れるくらいには復活。
夜になっても気温は下がらず暖かいまま。
さすがにもう分かってきたので、寝袋なし、パンイチで就寝することに。
ここまで3日間、毎日「ヤベェ…」を更新してきている。
残りのステージも絶対に更新してくるという確信すらあった。
元々楽しんでいるつもりだったが、余計に楽しくなってきた。
これでこそ砂漠レースだ。
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