2023年11月にインドネシアのBTS Ultra 100Kカテゴリを走ってきました。
今回は移動の記録です。
BTS Ultraとは
日程:2023年11月4日
開催地:インドネシア 東ジャワ島 ブロモ山
距離:102㎞(D+4,709m)
制限時間:32時間
最高標高地点:2,750m
最低標高地点:1,500m
コースプロファイル自体は日本国内の同距離と似たような感じですが、制限時間がだいぶ長いため、結構な距離を歩いても余裕で完走できる設定となっています。
また、後述する壮大な景色がレース参加の決め手となりました。
深夜0時スタート、波乱の序盤戦
BTS Ultraは170km、100㎞、70㎞、30㎞のカテゴリがあり、170㎞と100㎞が深夜0時に同時スタートとなります。
日本のレースは100㎞以上のウルトラでも早朝や夕方スタートが一般的なので、初めての経験となります。

参加人数は2カテゴリ合わせて100人強ですが、応援の観客や音楽でそこそこ盛り上がっています。
日本からの参加者は5,6名おり、レースのために日本から来たのは自分を含め3名、駐在員としてインドネシア在住の方が数名でした。
仲良しこよししに来たわけではないですが、異国の地で日本語を聞くとやはり安心しますね。

最初のエイドです。
写真を見て分かる通り、スタッフが上着を着る必要があるくらいには冷え込みます。
常夏のイメージがあるインドネシアですが、標高2,000mを越えるエリアでは秋の日本から参加した私も肌寒さを感じました。
ランナーとして参加するのであれば、半袖にアームカバーがあれば十分という感じです。

夜が明けてきました。
時間としてはスタート後4時間程度でしょうか。
序盤だけでも色々ありました。
レースのために切り開いた道を直登ならぬ直降させる場面では、足元がフワフワの砂で滑り落ちたり。
土を掘って作られた排水路が2m以上の深さがあり、脚を滑らせて落ちたランナーを引き上げたり。
ちなみに落下したのは170km参加の日本人ランナーでしたが、奇跡的にケガなしでレースを続行出来ました。
下手したら骨折コースでした。

写真の方が2m以上ある排水路に落下しました。序盤なのに全身土まみれです。

山を抜けると斜面に作られた畑に出ます。
他の星に来たのかと錯覚するような景色に圧倒されながら進みます。

基本的には山(トレイル)を越えたら舗装路の下り&登りで次の山へと繋ぐコース設計となっています。
舗装路は気を遣わずに済むので、暖かい日差しを浴びながら和気あいあいと歩いていますね。
無料でハイクオリティの写真を提供してくれるのも東南アジアレースの嬉しいポイントです。
活火山のブロモ山麓へ

40㎞地点のエイドです。
立派な展望台の一角を広々と使用して休憩することができます。

こちらはエイドで提供されていた雑炊とゆで卵です。
あまりにも美味しくて2杯おかわりを頂きました。
私は苦手な食べ物はないので美味しくいただけましたが、人によっては香辛料の香りが合わずにあまり食べられていませんでした。
海外レースに参加するのであれば、その土地の食べ物が大丈夫かも検討材料として必要になりそうです。

エイドを出たところで100kmと170kmのコースが分かれるため、ここで一緒に進んだ選手とお別れします。
100㎞はこれまた惑星みたいな景色に向かって下りっていきます。

気持ち良く走れそうな緩い下りなのですが、先ほどのエイドで大量に食べた影響で脇腹痛になり全歩き。

しばらく下ると先ほどの草原は姿を消し、黒土火山灰の砂漠地帯に入ります。

このエリアは一大観光地らしくコースはそのど真ん中を突っ切ります。
泥だらけのランナーが通ると応援してくれるので、結構嬉しかったりします。

先ほどの平坦砂漠から、デコボコが激しいエリアに入ります。
信じられないですが、これもコースの一部。

客観的な写真だとこんな感じ。
とんでもないスケールの中を進んでいきます。
この辺りでお昼過ぎを迎え、日差しがかなりきつかったです。
日射病に注意が必要なエリアだと思います。

こちらはブロモ山の火口です。
レースコースには入っていませんが、10分程度コースから外れれば見ることができます。
モクモクと蒸気が上がっていて活火山ということを実感します。

ブロモさん山頂からの景色です。
とんでもない所をコースにしてくれていますね。
日本ではありえないです。

ブロモ山を下りてエイドに入ります。
この辺りから早朝にスタートした70㎞の選手と混ざって進んでいきます。
距離的には半分の50㎞地点となります。
ここまででも十分に目当てだった景色、食事を堪能できました。
ナイトパートも楽しみです。
外輪山ルートへ
砂漠地帯を抜けると次は外輪山パートに入ります。

舗装路の激坂をひたすら登り続けます。
ありえないくらいの激坂です。
車のエンジンも相当な唸り声を上げていました。

激坂を登りきるとさっきまでいた砂漠地帯を一望できます。
こうして見るとかなり標高を上げましたね。
それにしても、ブロモ山はやはり異様な光景ですね。

外輪山の稜線を進みます。
足元を見ると登山道に細い轍があって非常に走りづらいです。

轍の原因はこちら。
登山道を走っていると、どこからともなくバイクのエンジン音が近づいてきます。
まさかと思って脇に避けた直後、オフロードバイクの集団が登山道を登ってきました。
なかなか衝撃的な光景です。
ヨーロッパはMTBとハイカー、ランナーの共存が当たり前ですが、インドネシアはオフロードバイクも含まれているようですね。
それにしても、レース中でも構わずというのは笑いました。(おそらくアナウンスもしてないでしょう。)

外輪山を下山し舗装路に出たころ、雷がゴロゴロ鳴り始めました。
かなり近く、先ほどの外輪山稜線にいたら恐怖を感じるレベルです。
日本のレースだったら間違いなく一時中断、コース変更、レース中止を検討するレベルだったため、
このレースの最後まで行けるのか不安になりましたが、エイドではそのような情報は一切なし。
日本基準だと安全管理に疑問符が付きそうですが、異国から参加してる身としてはレース継続は非常にありがたいです。

肌寒いレベルなのでレインウェアを着てエイドを出ます。
ナイトハイクを経てゴールへ

だんだんと暗くなる中、畑がある斜面を登っていきます。
周りには誰もいません。
個人のトレッキングでは異国の地でこんなことできません。
こういうのはレースならではの経験ですね。

90㎞地点のエイドに到着です。
ここで40㎞地点で別れた170㎞参加の日本人選手と再会します。
これまで参加した中で一番キツイレースだと言っていました。
170㎞カテゴリもこのエイドは約90㎞地点で、残り80㎞あります。
挑戦する人たち、本当にかっこいいです。
寒いのでカップラーメンを頂いて温まりました。
残り10㎞は下り基調のウイニングランです。

最後もテクニカルなサーフェス、階段を繰り返して下っていきます。

102kmを20時間20分過ぎにフィニッシュ。
順位は全く把握していませんでしたが4位だったようです。

フィニッシュ直後はゴールに誰もおらず、メダルは裏側にある本部でかけてもらいました。
こんなゆるい雰囲気も良いですね。
ゴール後はすぐに宿に戻り、シャワーを浴びて就寝しました。
序盤からタフなコース、トラブル、絶景、雷といろいろありましたが、無事に完走することができて本当に良かったです。
最高に楽しい20時間となりました。
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